京都の大人紳士へ捧ぐ、唯一無二の高級メンズサロン Kyoto 逡巡ノ夢（シュンジュンノユメ）

京都の夜、背筋が伸びる場所──Gentlemanという名の高級メンズサロン　　　　　　　　　　　　　エピローグ

夜の京都は、どこか空気が違う。四条から少し離れた路地を進むと、灯りがひとつまたひとつと、足音を追いかけるように瞬き出す。

今夜、彼が選んだのは美容室──いや、正確には 高級メンズサロン「逡巡ノ夢」 だ。

磨き込まれたガラス扉を開くと、静かな音楽とともに暖かな照明が迎える。ふっと鼻をくすぐるのは、わずかにフレグランスーとレザーが混じる大人の匂い。

鏡の前に腰を下ろした瞬間、彼は不思議なほど深い呼吸をした。いつもより少しだけ背筋を伸ばしてみる。担当の美容師が無言でクロスをかけ、髪切りの道具を揃える様子が頼もしい。

美容を終えたあとのグラスは格別だった。氷が溶ける音に耳を澄ませながら、軽く目を閉じる。重たい仕事のことも、慌ただしい街のざわめきも、この一杯とともに遠ざかっていくようだ。

やがて、彼は奥のスペースへと誘われる。そこには最新のゴルフシミュレーターが静かに待っていた。スーツを脱ぎ捨てる代わりに、今日はただスイングに全てを預ける。

京都で、この贅沢が味わえるのはきっとここだけだろう。店を出る頃、夜風が頬を撫でる。さっきまでと違うのは、心のどこかに誇りのようなものが灯っていること。

彼はもう一度、この路地を歩く。また必ず来ようと、静かに思いながら。